固定資産の登録から、日々の管理、減価償却費の自動計算、売却・除却までの全体像を解説します。
目次
- 固定資産管理でできること
- 固定資産の登録手順(取得価額・償却方法・耐用年数)
- 自動償却仕訳の作成タイミング
- 固定資産除却・売却処理の流れ
- 次年度更新における注意点
- 決算書(BS/PL)への反映について
- よくある間違いと対処法
1. 固定資産管理機能の概要
ジョブカン会計の固定資産管理機能では、社有車やPC、備品などの資産を登録することで、面倒な減価償却費の計算から決算書の作成までを効率化できます。
【主な機能】
資産台帳の作成・管理
資産ごとの取得日、購入金額、耐用年数などを一括管理できます。
減価償却費の自動計算
登録情報に基づき、毎期(毎月)計上すべき減価償却費をシステムが自動で計算します。
仕訳データの作成
計算結果を元に、減価償却費の仕訳を作成します。
作成時には、「計上日(毎月/決算時)」の指定や、「部門ごとの集計」、「対象資産の選択」などの設定が可能です。
減価償却費の仕訳以外に「本年に取得した資産の仕訳を作成」も合わせて可能です。
確定申告決算書・収支内訳書への対応
確定申告に必要な「減価償却費の計算」に対応しています。
2. 償却方法の種類と選び方
固定資産の登録時には、資産の「取得時期」や「金額」、「種類」に応じて適切な償却方法を選択する必要があります。 ジョブカン会計で選択可能な償却方法の概要は以下の通りです。
①. 一般的な償却方法(現行)
2012年(平成24年)4月1日以降に取得した資産で主に使用します。
| 償却方法 | 概要・特徴 | 主な対象 |
償却不可 |
時間の経過により価値が減少しない資産です。 |
土地、借地権、骨董品・美術品、電話加入権など |
200%定率法 |
初年度の償却額が最も大きく、年々減少する方法です。 現在、一般的に「定率法」とする場合はこちらを選択します。 |
車両、機械装置、工具器具備品など |
定額法 |
耐用年数にわたり、毎年一定額を償却する方法です。 | 建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアなど |
均等償却 |
繰延資産(開業費など)や一括償却資産(20万円未満)など、特定の期間で均等に償却する場合に使用します。 | 開業費、創立費、一括償却資産など |
②. 少額資産向けの償却方法
取得価額が低い資産について、特例的に早期に経費化する方法です。
| 償却方法 | 概要・特徴 | 金額の目安 |
一括償却 |
3年間で均等に償却(経費化)する制度です。 「少額減価償却資産の特例」を利用しない場合や、大企業でも利用可能です。 |
1個あたり |
| 10万円以上 20万円未満 | ||
即時償却 |
取得した年度に、全額を経費計上できる特例です。 (少額減価償却資産の特例)青色申告を行う中小企業者等に限り利用できます。 ※年間合計300万円まで。 |
1個あたり |
| 30万円未満 | ||
任意償却 |
償却額を自動計算せず、手入力する場合に選択します。 |
(指定なし) |
| (指定なし) |
③. 取得時期による償却方法(過去の制度)
法改正以前に取得した古い資産を登録する場合に使用します。
| 償却方法 | 取得時期の目安 | 解説 |
250%定率法 |
2007年(平成19年)4月1日 ~ 2012年(平成24年)3月31日 |
2007年〜2012年頃(法改正の過渡期)に取得した資産に適用される定率法です。 |
旧定額法 |
~ 2007年(平成19年)3月31日 | 2007年3月31日以前に取得した資産に適用されます。 残存価額が取得価額の10%まで償却されます。 |
旧定率法 |
~ 2007年(平成19年)3月31日 | 2007年3月31日以前に取得した資産に適用されます。 |
3. 圧縮記帳(国庫補助金等の受入)について
固定資産の登録画面にある「圧縮記帳額」の項目は、国や自治体からの補助金・助成金を使って資産を購入した場合に使用します。
■圧縮記帳とは
受け取った補助金に税金がかからないように、「購入金額から補助金の額を差し引いた金額」を取得価額として扱う経理処理のことです。
■入力のイメージ
例:100万円の機械を買い、40万円の補助金をもらった場合
通常なら100万円に対して減価償却を行いますが、圧縮記帳額に「40万円」と入力することで、実質「60万円」の機械として減価償却計算が行われます。
これにより、補助金(収益)と圧縮損(費用)を相殺し、購入年度の税負担を軽減(課税の繰り延べ)することができます。
2. 固定資産の登録手順
新しい資産を購入した場合や、導入時に既存の資産を登録する場合の手順をご案内します。
1. メニュー[決算]→[固定資産]→[固定資産管理]画面右上の[新規作成]より固定資産の登録を行います。※行を選択して新規作成を行うと、そのすぐ下に固定資産が追加されます。
※行を選択して編集横の▼をクリックし、[複写]をクリックすると、その下に行がコピーされます。内容を編集して登録してください。
2. [固定資産(登録)]画面が表示されます。[基本情報]の「資産名称」~「摘要」の各項目を入力します。
[基本情報]
| 項目名 | 説明 |
| 資産名称 | 資産名称を20文字以内で入力します。 |
| 数量 | 固定資産の数量を0~99999.9の数値で入力します。 |
| 単位 | 資産の単位を2文字以内で入力します。 |
| コード | 半角英数字記号を8文字以内で入力します。 |
| 勘定科目 | 固定資産の勘定科目を選択します。 |
| 部門 | 固定資産の部門を選択します。 |
| 取得日 | 固定資産の取得年月日を入力します。当期以前の日付も指定できます。 |
| 取得価額 | 固定資産の取得価額を入力します。10桁(10億)まで登録可能です。 |
| 取引先 | 取引先が登録されている場合は選択します。 |
| 期首帳簿価額 | 取得日が当期の期首日以前の場合に、期首時点での帳簿価額を入力します。 |
| 償却方法 | 該当の償却方法を選択します。 償却方法や区分についてはこちらをご覧ください。 |
| ※償却可能限度額を5年均等償却する | 償却方法で「旧定率法」または「旧定額法」を選択した場合に表示されます。 チェックを入れると、償却可能限度額(取得価額の95%)に達した後、残りの簿価(5%相当額-1円)を5年間かけて均等償却するよう設定されます。 |
| ※改定取得価額を均等償却する | 償却方法で「200%定率法」、「250%定率法」を選択した場合に表示されます。 過去の償却により、償却費が「償却保証額」を下回り、計算の基礎が「改定取得価額」に切り替わっている資産を登録する場合にチェックを入れます。 |
| 耐用年数 | 資産の耐用年数を0または2~100の数値で入力します。 「耐用年数」についての詳細はこちらをご覧ください。 |
| 摘要 | 摘要を入力します。20文字まで入力できます。入力内容は、「固定資産管理」画面の「摘要」に表示されます。 |
3. 続いて、必要に応じて[詳細情報]や[当期償却]、[資産取得の仕訳]の各項目を入力します。
4. 入力が完了したら、右下[保存する]をクリックします。
※画面下部[エラー内容]には、入力した値が不正な場合などにメッセージが表示されます。
[詳細情報]
| 項目名 | 説明 |
| 圧縮記帳額 | 補助金等を活用した場合、圧縮記帳額を入力します。 |
| 供用開始日 | 取得日と同じ日付が自動入力されます。 |
| 減少日 | 固定資産を売却・除却した場合に日付を入力します。 |
| 法定償却限度額 | [償却方法]で「均等償却」「任意償却」「旧定額法」「旧定率法」のいずれかが選択されている場合に自動で計算されます。 「定額法」「250%定率法」「200%定率法」が選択されている場合は、1円(備忘価額)となります。 |
| 経費割合(販管費) | 基本情報で「製造原価を使用する」設定になっている場合にのみ表示されます。 1つの資産を「販売費及び一般管理費(販管費)」と「製造経費」の両方で使用している場合に、減価償却費をそれぞれの経費に振り分ける(按分する)割合を設定します。 |
| 経費割合(製造経費) |
[当期償却]
| 項目名 | 説明 |
| 普通償却費 | 基本情報と詳細情報を元に自動計算されます。 |
| 増加償却費 | 増加償却を利用する際は、増加償却額を入力します。 |
| 割増償却費 | 割増償却を利用する際は、割増償却額を入力します。 |
| 特別償却費 | 割増償却を利用する際は、割増償却額を入力します。 |
[資産取得の仕訳]
| 項目名 | 説明 |
| 取得取引の勘定科目 | 固定資産取得仕訳の相手科目を入力します。 |
| 取得取引の補助科目 | 固定資産取得仕訳の相手補助科目を入力します。 |
| 取得取引の摘要 | 固定資産取得仕訳の摘要欄に表示させたい内容を入力します。 |
※新規に固定資産を取得した際に入力してください。固定資産取得仕訳を作成する際に貸方科目と摘要として利用します。
固定資産の登録手順についての詳細は、以下のヘルプページをご覧ください。
・ 固定資産を登録する
3. 【重要】減価償却仕訳の作成手順
1. メニュー[決算]→[固定資産]→[固定資産管理]画面右上の[仕訳作成]より原価償却費の仕訳作成を行います。
2. [固定資産の仕訳一覧]画面が表示されます。画面右上[固定資産の仕訳作成]をクリックします。
3. [固定資産の仕訳作成]画面が表示されます。必要に応じて[仕訳作成対象の選択]にチェックを入れ、各項目を設定して[作成]をクリックします。
4-①. [仕訳作成対象の選択]で「本年に取得した資産の仕訳を作成」にチェックを入れた場合は、[作成]をクリックすると、固定資産の取得仕訳が自動作成され、[固定資産の仕訳一覧]画面に表示されます。
4-②. [仕訳作成対象の選択]で「償却中の仕訳を作成」にチェックを入れた場合は、[仕訳作成]や[計上方法]を設定します。[作成期間]で期間を選択し、[作成]をクリックすると、減価償却費の仕訳が自動作成され、[固定資産の仕訳一覧]画面に表示されます。
■「償却中の仕訳を作成」選択した場合の[計上方法]について
5-①. 「直接法」を選択した場合:貸方科目が「固定資産の科目(建物など)」となり、資産の価値を直接減額する仕訳が作成されます。
5-②. 「間接法」を選択した場合:[間接科目]に「減価償却累計額」が自動表示され、貸方科目が「減価償却累計額」となる仕訳が作成されます。
4. 固定資産除却・売却処理の流れ
固定資産を売却または除却(廃棄)した場合は、システム上で以下の2つの手順を行う必要があります。
❶. 固定資産台帳の更新(償却計算をストップさせる)
❷. 仕訳の登録(資産の減少と損益を計上する)
【重要】
固定資産台帳で除却・売却の処理を行っても、仕訳は自動作成されません。
必ず「振替伝票」や「仕訳日記帳」にて、資産を取り崩す仕訳を別途登録してください。
❶ 固定資産台帳の更新
まずは固定資産管理の設定を変更し、翌期以降の減価償却費が計算されないようにします。
1. メニュー[決算]→[固定資産]→[固定資産管理]画面で売却・除却の処理を行う固定資産の名称をクリックします。
3. [固定資産(編集)]画面が表示されます。[詳細情報]の[減少日]に、固定資産を売却・除却した日付を入力し、[保存する]をクリックします。
5. [固定資産(詳細)]画面が表示されます。入力に誤りがないか確認します。
※[戻る]をクリックすると[固定資産管理]画面に戻ります。
これにより、入力した日付時点での「帳簿価額(未償却残高)」が確定し、それ以降の償却計算が停止します。
固定資産を売却・除却については以下をご覧ください。
❷ 振替伝票での仕訳登録
次に、資産がなくなったこと(資産の減少)と、それに伴う損失や利益(特別損益)を会計データに反映させます。
1. メニュー[振替伝票]をクリックします。
2. [振替伝票]画面が表示されます。右上の[新規作成]クリックします。
3. [振替伝票(登録)]画面が表示されます。以下の仕訳例を参考に、手動で入力を行います。
※金額は、手順①で確認した固定資産台帳の「期末帳簿価額(未償却残高)」などを参照してください。
【ケースA】廃棄した場合(除却損)
資産をスクラップや廃棄処分し、1円も受け取らなかった場合の仕訳です。
※1:廃棄した資産の勘定科目(機械装置、工具器具備品など)を選択します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 減価償却累計額 | (これまでの償却額) | 車両運搬具 ※1 | (取得価額) |
| 固定資産除却損 | (残りの価値) |
【ケースB】売却した場合(売却益・売却損)
資産を売却し、代金を受け取った場合の仕訳です。
■利益が出た場合(売却額 > 帳簿価額)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 現金・預金 | (売れた金額) | 車両運搬具 | (取得価額) |
| 減価償却累計額 | (これまでの償却額) | 固定資産売却益 | (利益の額) |
■損失が出た場合(売却額 < 帳簿価額)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 現金・預金 | (売れた金額) | 車両運搬具 | (取得価額) |
|
減価償却累計額 (これまでの償却額) |
|||
| 固定資産売却損 (損失の額) |
1. データの繰越について
固定資産管理画面で登録された資産データは、年度更新(次年度の作成)を行うと自動的に翌期へ引き継がれます。
お客様ご自身で、翌期用の台帳を再作成したり、データを移行したりする必要はありません。
2. 年度更新前の必須チェック
翌期へ進む前に、必ず以下の点をご確認ください。
・ 当期分の減価償却費は計上済みですか?
まだ仕訳が作成されていない場合は、必ず当期内で仕訳作成(または保存)を行い、減価償却費を費用計上してください。
・ 期中に取得・除却した資産の登録漏れはありませんか?
決算日までに購入した資産や、廃棄した資産の処理が漏れていると、正しい税額計算が行われません。
3. 繰越後の確認(期首残高)
年度更新を行った後は、念のため以下の金額が一致しているかご確認ください。
・ 【前期】の決算書(貸借対照表)における「固定資産」の期末残高
・ 【当期(新年度)】の固定資産台帳における「期首帳簿価額」
もし金額が一致していない場合は、前期の仕訳入力や台帳登録に修正が入っていないかをご確認ください。
固定資産台帳に登録したデータや、自動作成された減価償却仕訳は、決算書(貸借対照表・損益計算書)の以下の項目に集計・反映されます。
1. 貸借対照表(B/S)への反映
購入した固定資産の「現在の価値(帳簿価額)」が表示されます。
表示箇所:資産の部 →【固定資産】
表示科目:登録時に設定した勘定科目(「工具器具備品」「車両運搬具」など)ごとに集計されます。
【ポイント】
減価償却累計額の表示について 記帳方法で「間接法」を採用している場合、各資産の下、または有形固定資産の最後にまとめて控除項目として「減価償却累計額」が表示されます。 これにより、「買った時の値段」と「これまでの償却額(の合計)」の両方が分かるようになっています。
2. 損益計算書(P/L)への反映
その期に発生した「減価償却費」が費用として計上されます。
表示箇所:一般的な経費の場合: 【販売費及び一般管理費】
表示科目:「減価償却費」
3. 製造原価報告書(C/R)への反映(※製造原価機能を利用している場合のみ)
固定資産の仕訳登録時に、減価償却費の勘定科目として「[製]減価償却費」を選択して登録した場合、その金額は損益計算書(販管費)ではなく、製造原価報告書の 【製造経費】欄に集計されます。
表示箇所:製造業で工場等の資産とする場合: 【製造経費】
表示科目:「減価償却費」
固定資産の管理において、お客様からよくいただくご質問や、間違いやすいポイントをまとめましたのでご参照ください。
Q. 固定資産台帳で「除却・売却」の処理をしたのに、決算書(B/S)に資産が残っています。
A. 仕訳の登録が漏れている可能性があります。
固定資産台帳で「除却日」や「売却日」を入力しても、それはあくまで「減価償却計算を止めるための処理」であり、資産を減らす仕訳は自動作成されません。
必ず「振替伝票」にて、資産の減少と除却損(または売却損益)の仕訳を手動で登録してください。
Q. 工場で使う機械なのに、減価償却費が「製造原価」ではなく「販売費及び一般管理費」に入ってしまいます。
A. 勘定科目の選択をご確認ください。 減価償却費を製造原価報告書(C/R)に集計させるには、仕訳作成時の借方勘定
目に「[製]減価償却費」(頭に[製]がついている科目)を使用する必要があります。
通常の「減価償却費」を使用すると、自動的に販管費として集計されます。
Q. 30万円未満のパソコンを一括で経費にしたいのですが、「一括償却」を選べば良いですか?
A. 「即時償却」を選択してください。 用語が似ていますが、処理内容が異なります。
即時償却: 購入した年に全額を経費にする場合(30万円未満の特例など)に選びます。
一括償却: 3年間かけて均等に経費にする場合(20万円未満の資産)に選びます。
全額をその年の経費にしたい場合は、必ず「即時償却」を選択してください。
Q. 償却方法で「旧定額法」を選択した場合、残存価額(10%)を1円まで償却するにはどうすればよいですか?
A. 資産登録画面にある「償却可能限度額を5年均等償却する」にチェックを入れてください。
旧定額法では通常、取得価額の95%(償却可能限度額)まで償却が進みますが、この項目にチェックを入れることで、95%に達した翌期から、さらに5年間かけて残りの簿価を1円(備忘価額)になるまで均等に償却する計算が適用されます。
Q. 旧システムと減価償却費が一致しません。金額を手動修正した場合、次年度以降の計算はどうなりますか?
A. 手動修正だけでは次年度以降もズレる可能性があります。以下の設定をお試しください。
旧システムとジョブカンで計算額が合わない場合、対象資産がすでに償却保証額を下回り、「改定取得価額」を用いた均等償却(毎年同額を償却する計算)の期間に入っているにも関わらず、その設定が漏れているケースが多く見られます。
1. 金額を直接手入力で修正する前に、対象資産の編集画面にて以下の設定をお試しください。
2. [改定取得価額を均等償却する] にチェックを入れる。
表示された [改定取得価額] の欄に、その資産の [期首帳簿価額] と同じ金額を入力する。
この設定を行うことで、ジョブカン上の計算方法が旧システムと一致し、当期の金額だけでなく、次年度以降の償却費も正しく自動計算されるようになります。
以上でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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